投稿者「六角」のアーカイブ

【レビュー】強迫性障害への認知行動療法

【タイトル】強迫性障害への認知行動療法 講義とワークショップで身につけるアートとサイエンス

(著)ポール・サルコフスキス (監訳)小堀修、他

(出版社)星和書店 2011年9月29日 初版第1刷発行

ポール・サルコフスキス教授が開発した「強迫性障害用の認知行動療法」の解説書です。基調講演やワークショップの内容を文書化しています。そのため、ガッツリとした論文ではなく、プレゼンのような形態の書籍となっています。医療者向けの書籍なので、罹患直後の患者が、「第一冊目」として購入するような書籍ではありません。

心理学や精神療法の研究は、日本以外の先進国の方が進んでいますので、日本で売られている本でも「著者は外国の方」というケースは多いです。特に、強迫性障害においては、それが顕著な印象があります。

認知行動療法をテーマにした書籍ですので、薬物療法のことは書かれていません。従いまして、「この書籍だけで、強迫性障害の治療全部」がわかるわけではありません。

この書籍から、私が吸収したことを、散発的にですが、いくつかご紹介したいと思います。

OCDの方は、再保証を求めてきますが、それを与え続けると患者の不安感は減るのですが、再保証の効果は減っていくそうです。しかし、再保証を求める動きは減らないので、問題は悪化していくそうです。

この書籍では、認知行動療法(CBT)と暴露反応妨害法(ERP)の効果が比較されています。結果を端的に述べると、CBTの方が、効果があるとのことです。

CBTは強迫観念と強迫行為の両方に効果がありますが、ERPは強迫行為に焦点をあてているため、強迫観念にはあまり影響がないようです。また、強迫行為に関しましては、CBTの方が、成績が良かったものの、ERPとの間に有意な差はなかったようです。

「早発発症の患者」と「遅発発症の患者」を比べた場合、早発発症の患者の方が重症である場合が多いのですが、「治り」については、早発発症の患者の方がよく、遅発発症の患者とあまり差がなくなるようです。

最後に、「不安の公式」みたいなものが記載されていましたので、ご紹介したいと思います。

【不安の強さの4つの要因】

不安の強さ = (起こる見込みの知覚 × 起こった時の恐ろしさの知覚)/ (対応能力の知覚 + 援助の知覚) 

この図式は、回復アプローチを説明するときに、とても役立ちそうです。後日、別の記事で使いたいと思いました。

【レビュー】患者のための最新医学 パニック障害 正しい知識とケア

【タイトル】患者のための最新医学 パニック障害 正しい知識とケア 

(監修)坪井康次 (出版社)高橋書店 (発行)2015年

患者向けの書籍で、パニック障害についての一般的なことが満遍なく記載されています。「基本用語」が丁寧に説明されているだけでなく、周辺の情報(うつ病や、パニック障害と間違われやすい病気等)についても記載されています。

「パニック発作の診断基準」や「パニック障害の診断基準」、「広場恐怖症の診断基準」の記載があり、読者自身でもある程度の精度で診断ができるようになっています。(もちろん、正確な診断は病院で行う必要があります)。

パニック障害患者が続発性のうつ病を罹患する場合、「非定型のうつ病」になることが多いのですが、その辺りも詳しく説明されています。

女性の妊娠・出産についても、けっこう詳しい説明がされていますので、気になる方には参考になるかと思います。

2015年発行の書籍なので、SSRIの服用計画が、昔(2000年代前半頃の書籍)と異なっています。「2000年代頃の書籍しか読んでいない」という方は、こちらの書籍で情報を更新するといいかもしれません。

書籍の後半は、日常生活のケアのしかたについて、細かく書かれています。しかし、これをきちんと実践するのは、なかなか難しそうです。 

(監修)坪井康次 (出版社)高橋書店 (発行)2015年

患者向けの書籍で、パニック障害についての一般的なことが満遍なく記載されています。「基本用語」が丁寧に説明されているだけでなく、周辺の情報(うつ病や、パニック障害と間違われやすい病気等)についても記載されています。

「パニック発作の診断基準」や「パニック障害の診断基準」、「広場恐怖症の診断基準」の記載があり、読者自身でもある程度の精度で診断ができるようになっています。(もちろん、正確な診断は病院で行う必要があります)。

パニック障害患者が続発性のうつ病を罹患する場合、「非定型のうつ病」になることが多いのですが、その辺りも詳しく説明されています。

女性の妊娠・出産についても、けっこう詳しい説明がされていますので、気になる方には参考になるかと思います。

2015年発行の書籍なので、SSRIの服用計画が、昔(2000年代前半頃の書籍)と異なっています。「2000年代頃の書籍しか読んでいない」という方は、こちらの書籍で情報を更新するといいかもしれません。

書籍の後半は、日常生活のケアのしかたについて、細かく書かれています。しかし、これをきちんと実践するのは、なかなか難しそうです。

【レビュー】強迫性障害 病態と治療

【タイトル】強迫性障害 病態と治療 (著)成田善弘 

(出版社)医学書院 2002年第1版第1刷 2012年第1版第4刷

著者は、1966年に医学部を卒業されたご年配の先生です。初版からだいぶ時間が経過していますが、本書に書いてあることをわかりやすく説明しているサイトもありましたので、内容は現在でも通用するものになっていると思われます。

医療者向けに書かれた本なので、読むのに時間がかかりましたが、興味深い情報もたくさんありました。そのいくつかを、ここでご紹介したいと思います。尚、情報は「論文の引用」を含みますので、必ずしも著者先生が主張しているとは限りません。

男の子の強迫性障害は、「第一子」である場合が多いそうです。また、末っ子も多い、という情報もありました。養育のされ方は、「過保護・過干渉」の場合が多く、症状の特徴は「自己完結型」が多いそうです。これらは私にピタリと一致するため、読んでいて複雑な気持ちになりました(苦笑)。

一方、女性の強迫性障害は、「第二子」が多く、親から「かまってもらえなかった」というケースが多いそうです。また、症状の特徴は「巻き込み型」が多いとのことです。

ご年配の先生ですので、フロイト(精神分析学)にも詳しく、フロイトの研究についてもたびたび触れられていました。

著者先生は、薬物療法も行うし、精神療法も行うそうです。精神療法では、複数の精神療法を「いいとこ取り」で使っているようです。これは何かの理論が先だってそうなったのではなく、結果的にそうなったとのことでした。このことは、強迫性障害を速やかに治す「シンプルな治療法」は見つかっていない、ということを意味していると思います。

治療者の心理の様子も記載されていて、現場でどういったことが起きているのか、とてもイメージがしやすかったです。

全体的にバランスが良い本でしたので、手元に置いて何回も読みたいと思いました。

毒親問題の回復アプローチ

「毒親の定義」は、今現在(2021年)も定まっていませんので、人(毒親被害者または心理士)によって対応はまちまちになっているかと思います。

毒親問題を「コミュニケーションの問題」と見るか、または「虐待」と見るかで、対応は正反対になりますが、基本的に毒親問題は、私は虐待だと考えています。

若い毒親被害者は、毒親問題を「コミュニケーションの問題」と考えていることが多いのですが、その考えはおそらく毒親問題をより深刻化させると思います。話し合いの場を設けたとしても、毒親は感情的になりやすいので、まともな話し合いすらできず、子ども側がどんどん疲弊するだけです。「あなたの気持ちを考えていなかった。ごめんなさいね」と謝ってくる毒親は、ほとんどいないでしょう。

30代以降の毒親被害者は、「怒り」や「悲しみ」から自分をどうやって解放させればいいのかわからず、もがき苦しんでいます。多くの人は、それには「許し」が必要だと考えていますが、その「許し」は容易に失敗してしまいます。毒親が十分な謝罪をしているのならともかく、横柄な態度や考え方がそのままであれば、この「許し」が失敗してしまうことは至極当然です。実際に、許しが容易に失敗してしまう様子は、スーザン・フォワードの書籍からも知ることができます。

しかし、仮に毒親が十分な謝罪をしたとしても、毒親被害者の心は「ひと時の安らぎ」しか得られないと私は考えています。「単発の嫌な思い出」というのは、相手側から謝罪があれば、たいていは許すことができますが、毒親問題は謝罪で解決する問題ではありません。その理由は、下記のようなものになると私は考えています。

  1. 被害があまりにも大きすぎる
  2. 毒親被害者は、毒親からの被害によって、現在も窮地に追いやられている
  3. 毒親被害者には、「脳もしくは思考形態の問題」が残る

窮地に追いやられている問題について

毒親被害者は、「幸せになるための準備」を毒親によって妨害されていますので、基本的に今現在も幸せになりにくい状況に追いやられています。そのため、「許そう」という心境になりにくいですし、仮に一時的になったとしても、その気持ちを持続させることは困難です。

「脳もしくは思考形態の問題」について

毒親被害者は、「あの時、何て言えば親に理解してもらえたのだろう」といったようなことを延々と考えてしまう「思考習慣」や、批判され続けたことによって自分自身を過小評価してしまう「習性」、または「極端なやる気の減少」といった問題を抱えています。そして、これらは病気に近いレベルで日常生活を苦しめます。

やっかいなことに、上述した問題同士は、連動しやすいです。具体例で述べますと、次のような思考ループに陥っていることが多いかと思います。

「努力しても報われにくい環境にいる」→「自分を過小評価」→「あの時、自分はどうすればよかったのか?」

こうした連動が問題解決を難しくしているため、何十年も苦しむ毒親被害者が続出しているのだと私は考えています。

回復アプローチ

毒親問題の場合は、精神疾患と異なり、毒親被害者の年齢・境遇といったもので、対応は大きく変わると思います。しかし、共通事項として、傾聴によるカウンセリング(共感してもらうカウンセリング)は、効果に限界があると予想しています。(※状況によっては必要ですが、根本的な解決策にはなりにくい、という意味です)

毒親からの被害があまりにも大きかった場合、もはや毒親を「許す・許さない」の問題ではありません。許そうが許すまいが、残された脳(思考習慣や思考形態)は、変化のないままです。従いまして、毒親被害者はどうしたら過去への思考習慣から解放されるのか、あるいは、どうしたら「自己肯定感」や「やる気」を正常レベルに戻すことができるのかを考えなくてはなりません。

こうした理由で、私は毒親被害者には傾聴によるカウンセリングよりも「行動療法」が適していると考えています。行動療法とは、端的に述べますと、「問題のある行動を減らす」という心理療法です。毒親被害者の場合、「過去を延々と考えてしまう」という問題行動がありますが、この時間を「幸せになるための準備」に充てることができれば、理論的には人生は良い方向に少しずつ動き出します。

行動療法は、最初から上手くいくことは少ないと予想しますが、修正を繰り返せば、少しずつ効果がでてきます。そして、行動が変わると、「自分の可能性」などの認識も自然に変わりますので、そこから回復のきっかけを掴むといいと思います。

尚、毒親問題を「許す・許さない」の軸で考え込むと、より深刻化すると予想します。おそらく、「意識する・しない」の軸で考えた方がラクになります。「毒親のことを考えなくても充実した生活を送ることは可能」ということを体験することが大切になるかと思います。

強迫性障害の回復アプローチ

多くの人は、「強迫性障害の予後は良くない」というイメージを持っていますが、実際はそうではなく、改善する人も多いと考えられています。具体的な数字は、研究者によって様々なので数値は出せませんが、書籍を読む限り、「まったく手が付けられない病気」ではないです。

実は、私はパニック障害の他に、強迫性障害もあったのですが、強迫性障害も完治に近いレベルをずっとキープしています。パニック障害については、今でも年に数日は困る日はあるのですが、強迫性障害については困ると感じる日は皆無に近いです。従いまして、私と同じタイプの強迫性障害であれば誰でも治せると考えています。

私は、物心ついたときから強迫性障害を患っていたので、どの時点で発症したのかは自分でもよくわかっていません。おそらく6歳未満の時だったと思われます。主な症状としては、「完璧主義で、途中で失敗すると最初からやり直す」というものと、「オマジナイ的な行動を何回もする」というものがありました。レベル的には中等症ぐらいだったと思います。尚、潔癖症のような症状は少なく、手洗いで困ったことはありません。

物心ついたときから発症していたため、苦痛は感じていましたが、「病院へ行く」という発想はありませんでした。また、「先天的なもので病院に行っても治らない」という思い込みもありました。このような状態が30代半ばまで続きました。

良くなったきっかけは、パニック障害になってSSRIを服用したことです。強迫性障害を治そうとしてSSRIを服用したわけではないのですが、結果として、それをきっかけに良くなっていきました。SSRIを断薬した後は、確認作業は増えたことは自覚しましたが、私の場合は再発までには至らず、再び軽快して現在に至っています。

私は、SSRIのおかげで治るきっかけを得たのですが、強迫性障害患者には認知行動療法が効果を示すので、最初はそちらを行うことをお勧めします。私は自分自身に認知行動療法を試すことはできませんでしたがが、「認知行動療法でもかなりの効果は得られただろう」という感触はあります。

強迫性障害の回復アプローチなのですが、児童と大人で少しだけアプローチの仕方が異なる部分があると予想しています。

児童の場合の回復アプローチ

強迫性障害のオマジナイ行動が生まれる原因は、「不安」だと私は考えています。ある不安に対して、適切な対処法がない場合、「オマジナイ行動」が生まれ、促進されていくと予想しています。おそらく、多くの人もこのように考えていると思いますが、私も同じです。

強迫性障害患者から「原因となる不安」を取り除くことは、オマジナイ行動を減少させることと同じくらい大切だと思うのですが、現状の治療では、「不安を減少させること」よりも「オマジナイ行動を減らすための認知行動療法」に傾きすぎていると感じます。

患者が低年齢であればあるほど、不安の発生源が親であることが多いと私は予想しています。子どもにとって、低年齢であればあるほど、親の重要性が増すからです。そうしたことから、患者が児童の場合は「親への教育」がとても重要になると思います。しかし、現状は「親への教育」はあまり行われていない印象です。「平素の接し方」が、子どもに不安を与えている可能性があるため、そこから見直さないといけない場合も多いと予想しています。

不安の発生減が「親ではない」という場合も、当然ながらあると思います。その場合でも、子どもには環境を変える力はないので、いずれにせよ、「親の対応能力の向上」が不可欠になっていると考えられます。

成人の場合の回復アプローチ

まずは、「強迫性障害以外の不安」があれば、それを小さくすることが大事だと思います。その後に、認知行動療法を行うといいと思います。

私は、30年以上にわたって強迫性障害を患っていましたが、「強迫性障害患者向けの既存の認知行動療法」はとてもよく考えられているように感じます。「もっと早く知りたかった」というのが私の率直な感想です。一方で、少しだけズレている、とも感じます。そして、このズレが治療の成否を分けていると考えています。

「どこがズレているのか?」ということなのですが、既存の認知行動療法は、「オマジナイ行動の減少」に注目しすぎている印象があります。本当に行わなければならないのは、不安を減少させることです。不安が減少すれば、オマジナイ行動は自然に減少しますので、「オマジナイ行動の減少」を目指すのではなく、「不安の減少」を目指します。

「オマジナイ行動の減少」は必ずしも「不安の減少」に繋がるとは限りませんので注意してください。例えば、やせ我慢をしてオマジナイ行動を減らせたとしても、それが新たな不安の発生源になれば、オマジナイ行動の減少は一次的なものになってしまいます。従いまして、治療に成功するパターンは次のようになると予想します。少なくとも、私はこのような感じで治りました。

不安が減少した → オマジナイ行動が自然に減少した

私の強迫性障害はSSRIで治ったのですが、SSRIを服用することによって、良い方向の「心境の変化」が起きました。私はこれによって不安が減少し、強迫性障害が治ったのだと考えています。

どのような心境の変化があったのかといいますと、私はSSRIを服用して、パニック発作の減少に成功しました。その時に、「SSRIが効果を示す脳の病気は治る」という認識を得ました。これが、私自身に「強い安心感」を与えました。SSRIを服用しているときは、オマジナイ行動は消失していましたが、SSRIを断薬した直後は少し不安感が復活し、それに伴いオマジナイ行動も少し復活しました。しかし、SSRIの断薬状態に慣れると、再びオマジナイ行動は消失方向に向かいました。それが今でも続いている、ということです。

SSRIを服用すると、不安に対して鈍くなるので、服用している間はオマジナイ行動が減少します。しかし、「心境の変化」が発生しなければ、安心感は得られませんので、薬を止めた時にオマジナイ行動も復活すると予想します。実際に、SSRIで治療した場合、強迫性障害の再発率は非常に高いです。

そうした理由で、私は下記のような仮説を立てています。

SSRIを服用すると、最初に「症状の減少」が起きるが、ここでSSRIを断薬してしまうと高確率で再発する。しかし、「強い安心感」が起きるまでSSRIの服用を続けると、SSRIの断薬後も安心感は持続するため、再発しにくい。

上記の仮説が正しいとすれば、「症状の減少」を最終目的とした認知行動療法は失敗しやすいが、「安心感の増大(不安感の減少)」を最終目的とした認知行動療法は成功しやすい、ということが言えるかと思います。

ここまで読んで、読者は「筆者はSSRIによって治った」と考えるかもしれませんが、それは正確な表現ではないと思います。私は、「認知行動療法が成立するようにSSRIを服用した」というのが正しいです。

重症のパニック障害患者の場合、発作が頻発するのでSSRIか、もしくはそれに代わる抗うつ薬の服用が必須になることが多いです。しかし、強迫性障害の場合はSSRIを服用しなくても改善するケースは多いと私は予想しています。従いまして、私がもし20代に戻れたとしたら、最初に「SSRIを使わない認知行動療法」を試します。それでも効果がない場合、「SSRIを使った認知行動療法」を試します

「安心感をもたらす認知行動療法はどうやって行うのか?」ということについては、次回以降の記事で述べたいと思います。

社会不安障害(社交不安障害)の回復アプローチ

社会不安障害(社交不安障害)は、お医者さんの間でも「病気(脳の問題)なのか」それとも「個人の性格の問題なのか」ということで、意見が分かれている印象です。おそらく、心理士さんの間でも意見が分かれていると思います。この病気をどう見るかによって、初期対応が変わってきますので、どういう理由で意見が分かれているのか、患者は知っておく必要があるかと思います。そのために、社会不安障害の歴史を少し振り返ります。

1980年代頃は、米国でも社会不安障害はマイナーな病気として考えられていたようですが、1990年代の後半になると、とてもメジャーな精神疾患になっていきました。患者が激増した、ということです。この原因は未だにわかっていません。

私が子どもの頃(1980年代)は、社会不安障害は、一般的には病気と見なすことはほとんどありませんでした。昔から、「恥ずかしがり屋さん」だとか、「引っ込み思案」だとか、または「赤面する」という言葉は広く使われて、病気と言うよりも「その人の性格」だと考えられていました。このような感じでしたので、社会不安障害の場合、潜在的な患者数はもともと多く、それが段々と病気として認識されるようになったのだと考えられます。

一方で、同じ不安障害であるパニック障害患者も、1980年代頃はほとんどいなかったのですが、1990年代頃から激増しました。こうした事実を考えると、原因はわかりませんが、現代人は不安に対する感度が全体的にアップしてきて、それに伴い様々な症状が強くでるようになったのだと思います。

また、社会不安障害患者の激増については、「社会の変化」も大きく影響していると考えられます。昔は人の流動が激しくなかったので、知らない人と話すことはあまりありませんでした。また、製造業にしても非製造業にしても、決まりきった作業をすることが多かったのですが、現在は新入社員でもいきなり重要なプレゼンを任されるような時代になりました。社会構造の変化によって、「恥ずかしがり屋さん」の苦痛が、昔とは比べ物にならないくらい大きくなったとも考えられます。

その他、「製薬メーカーがSSRI(抗うつ薬)を売り込むために、社会不安障害という病気を広めた」という考えもあります。そのように見ている人(お医者さんや心理士さん)は少なくない、ということです。SSRIは発売当初、派手なキャンペーン(宣伝活動)があったのでそのように考えることもできますが、もし仮にそうだとすると、キャンペーン終了後に患者数は大きく減少しているはずです。しかし、そうした情報は見当たりませんので、製薬メーカーの影響だけで患者数が激増したとは考えにくいです。

このような理由から、社会不安障害については「病気」なのか、はたまた「性格の問題」なのか、見分けることが難しいです。

社会不安障害への対応方法ですが、「病気(脳の問題)」が強ければ薬物療法が、「性格の問題」が強ければ訓練が治療(改善)の主軸になるかと思います。しかし、その他にも「環境を変える」という選択肢もあり、こちらもかなり有効だと思います。

環境を変えることの大切さに少し触れて起きたいと思います。米国では1900年前後に産業革命が起きたのですが、その時、多くの若者たちが工場勤務に「対応」できませんでした。人には向き不向きがあり、「病気でなくても対応できない」ということは多々あります。同じようなことが、社会不安障害患者の方にも言える場合もあると思います。

現在の学校や職場は、持続的な緊張を強いてきます。例えば、乗り物の運転手であれば、長時間トイレに行けないこともありますし、集中力も必要です。こうしたことは、人間の生理現象に逆行しますので、人によってはすぐに不調をきたすこともあるかと思います。従いまして、生理現象が激しい人には、自分に合った仕事をすることが大切です。

ここでいったん整理しますと、社会不安障害への対応方法は大きく分けると、下記のとおりです。

  • 薬物療法
  • 訓練(認知行動療法)
  • 環境を変える

これらのうち1つだけ行っても改善するケースはあると思いますが、仮にそうだとすると、簡単に治癒できる人が続出するはずですので、そうしたケースは少ないかもしれません。実際の治療では、これらを使い分けていくケースが多いかと思います。

「脳の問題」で苦痛が発生している場合は、薬物療法が有効(あるいは必要)になりますが、反対に「性格の問題」で苦痛が発生している場合は、少なくとも本格的な薬物療法は不必要になります。患者は、社会不安障害患者が激増した背景等も考慮しながら、対応を決めていく必要があるかと思います。下記に、「自分だったらどうするか」という立場から、回復アプローチについて述べます。

軽症の場合

私は、「人前で何かをする」というのが苦手で、人前だといつもできることができない、ということがしばしばありました。(今でもあります)。「これは誰でもそうだよ」と言われればそうなのですが、おそらく、一番症状が酷いときに病院を受診していれば、軽症ではありますが、「社会不安障害」と診断されていたと思います。

私は、パニック障害のためSSRIを服用しましたが、軽症の社会不安障害では、SSRIの服用はお勧めしません。SSRIを服用して「不安の感度」が鈍くなったとしても、それは一次的なことで、SSRIの服用を止めてしまえば緊張感は復活すると思います。少なくとも私の場合はそうでした。SSRIを服用しても、もともとの性格までは治らないと思います。

幸い、社会不安障害では、認知行動療法の効果がでやすいと思います。認知行動療法に詳しくなって、自分自身で訓練内容をカスタマイズできるようになることが大事です。そして、それでも改善しない場合は、「SSRIが必要な局面」と判断します。

「年に1回あるかないかの大イベントでのスピーチやプレゼンが怖い」という場合は、「その時だけ抗不安薬を服用する」という方法もあると思います。しかし、それだけのために病院を受診するのは考えた方がいいかもしれません。その場合は、「こころまりも相談室」までご相談ください。

重症の場合

重症の場合は、「脳の問題」の可能性が高いので、SSRIの服用を検討する必要があるかと思います。SSRIは服用のしかたが難しいので、その特性について詳しく知る必要があります。SSRIを服用して速やかに治るのであれば、患者さんもお医者さんも苦労することはありませんが、実際はそうなってはいません。どうすればSSRIの効果を引き出せるのか、患者側も知っておく必要があります。

全般性不安障害の回復アプローチ

不安は誰にでもあるため、その症状(あるいは思考)が「病気」によるものなのか、それとも「本人の性格」によるものなのか、第三者からはとてもわかりにくいです。従いまして、医療者も、または心理士も、あまり適切でない対応をしてしまうことは多々あるかと思います。

一番問題になるのは、薬物療法を行うときだと思います。薬は、誤った判断の下で使用すると、苦痛が大きくなるだけで、デメリットしかありません。そのため、薬の使い方については、患者側も熟知しておく必要があると思います。

薬物療法では、「抗不安薬で様子をみましょう」となることが日本ではとても多いと予想しますが、抗不安薬を連続で何週間も使用することは、私はお勧めしません。

重症の場合は、「SSRI(抗うつ薬)を服用しましょう」という方向になると思いますが、SSRIは服用のしかた(使いこなす方法)が難しいため、患者側にも知識が必要になります。おそらく、本を1冊読んだ程度では、なかなか上手く使いこなせません。

精神療法を使う場合、私なら認知行動療法を選びます。しかしながら、全般性不安障害の認知行動療法は、特有の難しさがあると私は考えています。パニック障害患者や強迫性障害患者の場合、「苦手なもの」がはっきりとありますが、全般性不安障害患者の場合は「はっきりとした不安の対象」がありません。そのため、治療の中間目標が立てにくいと思います。

全般性不安障害の方は、「不安に対する認識」を変えようとしていることが多いように感じます。具体例で言いますと、「不安は生きていくうえで必要なもの」という認識を強め、「不安との付き合い方」を改善しようとしています。これは、ある程度は良い効果をもたらしてくれると思いますが、限界もあると私は考えています。全般性不安障害患者には、「どのように不安と付き合っていけばいいのか?」というアプローチの他に、「どうしたら脳は安定してくれるのか?」という方向からのアプローチも必要だと思います。具体的には「カフェインはできるだけ控える」、ですとか「夜更かしはしない」といったようなアプローチです。脳の動きに注目して、生活習慣を見直していくといいと思います。

パニック障害の回復アプローチ

パニック障害の方は「この病気は治るのか」ということを常に心配されていることかと思います。私はお医者さんではないので、パニック障害が医学的に治るかどうかを申し上げる立場にはないのですが、元患者として経験的な立場から述べますと、パニック障害は寛解(≒完治)が望める病気ですので、その心配はあまりする必要はありません。

このように述べても、パニック障害の方は「自分だけは治らないかもしれない」と考えてしまいがちですが、その考えはおそらく正しくないです。「100%の回復」までには至らなかったとしても、人生が楽しめるくらいまでの回復であれば、十分可能だと思います。私は自分よりも重症な患者さんを見たことがないのですが、このような私でさえも大きく回復することができました。また、知識のある患者さんに限ると、高確率で大きな回復を手に入れている印象です。

パニック障害は「治る人と治らない人」がいますが、知識が不足している患者さんは「運の良い人は治り、運の悪い人は治らない」と考えていることが多いように感じます。しかし、実際は、治るか治らないかは「適切な治療努力を行ったかどうか」という部分がとても大きいです。ただし、ここで注意して欲しいことが2つあります。1つは「苦労している」ことと「努力している」ことはイコールではないということです。そして、もう1つは、例え努力をしていたとしても「努力の方向性」が悪ければ、よい結果は得られないということです。

「私は病院に行っているから大丈夫」と考えている人は多いのですが、その考えは危険です。実は、かつての私もそのように考えている一人だったのですが、その当時(罹患してから2年間)は、治療が上手く進みませんでした。それどころか、悪化してしいきました。私の場合は、「科学的な治療法を受けることができなかった」という特殊な事情があるのですが、いずれにせよ、パニック障害は「病院にさえ行けば治る」という病気ではありません。パニック障害の治療では、「医師に病状を伝えて、あとは医師の判断次第」という治療法が上手く行かないのです。

パニック障害は、今現在も謎の病気で、なおかつ「慢性疾患」と考えられています。「慢性」とは「長期にわたってなかなか治らないような病気の性質」のことを言います。つまり、パニック障害は「医師が努力しても、速やかに治すことができない病気」ということです。このことは、「パニック障害歴が10年以上」という患者さんが多いことからもわかります。仮にパニック障害が慢性疾患でないとすれば、パニック障害で入院した患者さんは、速やかに治っているはずです。

慢性疾患の場合、「医師の努力」よりも「患者の努力」が重要になってくることが多いです。パニック障害も例外ではなく、大きな回復を手に入れるためには「患者側の努力」が必須になります。イメージ的には、医師の努力が「1」に対して患者の努力が「9」くらいの割合で必要になるかと思います。この数字は私が無理やり出したものですが、患者の努力が無ければパニック障害はほとんど回復しませんので、大きく外れているわけではありません。

ここで、「どういった努力をすればいいのか?」ということが問題になりますが、情報を集めて精査することが第一歩になります。まずは、パニック障害関連の書籍を1冊読むことからスタートするのがいいかなと私は思います。

しかしながら、書籍を読んだからといって、パニック障害がすぐに治るわけではありません。書籍から得た情報を、上手く活用できたときにパニック障害は「回復の軌道」に乗ります。パニック障害について知識量が増えたとしても、それを上手く活用できなければ、当然ながら治療は上手くいきません。従いまして、考えながら治療を進める必要があります。私の経験上の話になりますが、パニック障害で大きな回復を手に入れている人には「情報活用能力に長けている」という共通項があります。これはとても重要なことですので覚えておいてください。

情報を上手く活用できない人は、「これさえやっておけば大丈夫」というような「単調な話」を好みます。しかし、パニック障害の治療においては、こうした考え方は危険です。もし、下記のような思考形態であれば、治療は上手く行かないと思います。

  • 通院しているから大丈夫
  • この薬(あるいはサプリ)を飲んでいるから大丈夫
  • こうした生活習慣を取り入れているから大丈夫

パニック障害の治療では、「こうしておけば大丈夫」という「単調な回復方法」はまだ見つかっていません。もし見つかっているのであれば、パニック障害を治せずに苦労している人は、ほとんどいないはずです。パニック障害の治療過程では、体調や気分は常に変化しますし、状況によって治療法を変える必要があります。つまり、パニック障害患者には、「対応力」が求められています。

「薬を飲めば治る」という病気の場合は、その薬の名前(情報)を知っていれば問題は解決します。しかし、対応力が求められる病気の場合、「情報」の他に、「考える力」が必要になります。パニック障害患者に必要なのは「情報だけではない」ということを覚えておいてください。

パニック障害を治すために、まずは書籍から情報収集することをお勧めしますが、書籍に書いてあることを実践したとしても、「運のいい人」しか治りません。繰り返しになりますが、書籍に書いてあることをそのまま実践して治るのであれば、ほとんどの人はパニック障害を治せているはずです。重要なことは、書籍に書いてあることを、自分用にカスタマイズできるようになることです。なぜカスタマイズが必要かと言いますと、人それぞれで病気の症状も違いますし、また、人間の脳は個人差が大きいからです。これらのことについては、また別の記事で詳しくお伝えしたいと思います。

「カスタマイズはお医者さんがしてくれるもの」と考えている人は多いのですが、それを適切に行える医師は皆無に近いです。それが上手く行かないため、治らない人が多いのです。しかし、「知識を身に付けた患者」であれば、「適切なカスタマイズ」は十分可能です。これも重要なことですので覚えておいてください。

ここで「なぜ、お医者さんはカスタマイズできないのか?」という疑問が湧いてくるかと思いますが、その答えはシンプルです。「精神的な苦痛」は、例えお医者さんであても、第三者からはわからないからです。パニック障害の場合、病状の大きさを客観的に測る方法がありません。問診だけでは限界がある、ということになるかと思います。

さて、治療を適切にカスタマイズするためには、患者が医療に積極的に参加する必要があります。ところが、多くの日本人は「医療は医師からのトップダウンで行われるもの」と思い込んでいて、実際はそうなっていないことが多いです。また、中には「患者は医療に参加してはいけない」と思い込んでいる人もいます。しかし、これらの考えは「急性期のみ」に当てはまる考えです。つまり、急性期を過ぎたら採用するべきではありません。従いまして、闘病期間中のほとんどは、患者は自分で治療の判断をすることになります。

患者が医療に積極的に参加することを「アドヒアランス」といいます。他の先進国では、アドヒアランスは一般的で、日本でもこの考えは広がりつつあります。パニック障害を大きく改善させるには、適切なアドヒアランスが必要になります。

「アドヒアランスとは具体的には何か?」ということなのですが、これはお医者さんに「この薬は効いていないので必要ないと思います」であるとか、「この薬は増量する必要があると思います」といったことを伝えることです。

ここで注意点があります。患者が医療に積極的に参加しても、「適切なアドヒアランス」ができなければ効果は得られないということです。かえって悪化するケースも有り得ると思います。そうならないように、患者側はパニック障害について勉強をする必要があります。最低でも、「無知識で医療に参加する」という状況は避けなければなりません。そのため、書籍を複数冊は読んで、治療過程の疑問をひとつひとつ解消させておく必要があります。「お医者さんに遠慮してアドヒアランスができない」という人もいますが、アドヒアランスは失礼なことではありません。

適切なアドヒアランスを行うために、最初は書籍から情報を集めることになりますが、今は様々な書籍があります。「薬は使うべきだ」と主張する書籍もあれば、「薬は必要ない」と主張する書籍もあります。また、患者さんが「このようにしたら治った!」ということを書籍にまとめていることもあります。おそらく、最初はどの本を読めばいいのか迷うことになるかと思いますが、とりあえずは、いろいろな本を読んでみるのがいいと私は思います。繰り返しになりますが、パニック障害患者には、「情報」の他、「それを活用する能力」も必要になります。情報活用能力(「情報を多面的・多角的に吟味しその価値を見極める能力」の意味)は一朝一夕には身につかないので、患者は「たくさんの情報に触れて、考える」という作業が必要になります。

なぜ情報活用能力が必要になるかといいますと、「適切なアドヒアランス」を行うということは、言い換えれば「回復プロセスの仮説を立てる」ということだからです。「仮説を立てる」ときくと大げさに聞こえますが、お医者さんに「私はこういう状況なので、この薬を使った方がいいと思います」と伝えることは、実は「こうした方がいい」という仮説を立てていることに他なりません。つまり、患者は仮説を立てられるくらい情報を収集しなければならないということです。

いきなり「仮説」と言われても、この表現にピンとくる人は少ないかと思います。しかし、パニック障害を治すためは「治療全体の回復プロセスについて仮説を立て、それを実証する」という経験が必要になります。今はあまり理解できなくても、頭の片隅に入れておいてください。詳しくは、別の記事でお伝えしたいと思います。

私が最初に立てた仮説は次のようなものでした。

「パニック障害については、専門家(医師)に任せるのが一番いいはずだ」

この仮説は外れていて、私は2年間にわたって科学的な治療すら受けることができませんでした。実は、私が闘病中の頃(2000年代)は、パニック障害の治し方を知らないお医者さんは普通にいました。当時の私は、「ほとんどの医師は、高レベルな医療水準を満たしている」と思い込んでいたので、このような「無謀な仮説」を立ててしまったのです。

罹患してから2年くらいが経過したとき、私は書籍から「自分に行われている治療法が適切でない」ということを知りました。そこからパニック障害について猛勉強し、転院し、数年後に大きな回復を手に入れることができました。

今現在は、標準治療(科学的な治療法)を知らないお医者さんは減っていると思いますが、いなくなったわけではありませんので注意が必要です。また、「標準治療を知っているけれど、標準治療を信頼していないので採用しない」というお医者さんもいるかと思います。

私の場合は「標準治療すら受けることができなかった」というケースだったのですが、仮に標準治療を最初から受けることができたとしても、患者側に知識が必要なことには変わりありません。実は、今現在も標準治療の精度は「極めて高い」というレベルではないからです。

パニック障害についての知識を身に付けた後、私は次のような仮説を立てました。

「パニック障害患者同士は、病状が驚くほど酷似している。おそらく、パニック障害患者同士は、脳の同じ部位に同じ問題を抱えているだろう。もしそうであるならば、治った人と同じようなことをすれば同じような経過をたどって治るはずだ」

結果的に、この仮説はあたっていて、この仮説によって私は回復の手がかりを掴みました。闘病中は、こうした仮説をいくつも立てていくことになります。行き当たりばったりの治療法では、時間と精神力だけを消耗し、なかなか良くなっていかないと思います。

不安障害の回復アプローチ(共通記事)

注意事項

本サイトでは「パニック障害と全般性不安障害、強迫性障害、社会不安障害(社交不安障害)」を総称して「不安障害」と表現します。また、私は医師ではありませんので、この記事を基に医学的な判断は行わないでください。元患者であるため、経験的な立場から述べていきます。

筆者(六角大地)の紹介

30代半ばで重症のパニック障害を罹患。初期治療に失敗し、非常に苦労するが、SSRIを使用し回復。また、幼少期に中等症の強迫性障害を罹患。30年以上にわたって無治療だったが、パニック障害の治療が終わったら、自然に治癒していた。不安障害の治癒後、東京福祉大学心理学部に入学・卒業。精神保健福祉士(国家資格)。認定心理士。

不安障害の回復アプローチ

不安障害を治すには、私の経験上では、特別なことをする必要はありません。エビデンスのある治療を実践していくだけです。ただし、治療精度は上げなくてはなりません。

お医者さんが残してくれたデータは、私の印象では、良質なものです。そのおかげで、私は大きな回復を手に入れることができました。しかし、「お医者さんの指示に従っていれば治りますか?」と訊かれれば、私は「NO」と答えます。もし、不安障害が「お医者さんの指示に従えば治る」という病気であれば、なかなか改善しない患者さんは皆無になると思います。しかし、現実はそのようになっていません。

「なかなか治らない」という人は、たいてい、次のどちらかです。

  1. 医師に頼りすぎている
  2. 治療意欲が低い

1と2の患者さんに共通するのは、「勉強不足」ということです。「医師に頼りすぎている」という人は、「お医者さんが何とかしてくれる」と思い込んでいて、勉強不足になっていることが多いです。また、治療意欲が低くなってしまった人も、(病気に対する)学習意欲が低下していますので、勉強不足になります。

不安障害は、今現在も、速やかに治す方法は見つかっていません。しかし、「有効な方法」は見つかっており、「まったく太刀打ちできない」という訳でもありません。この「有効な方法」を効果的に使うと、「日常生活では困らない」という状態までもっていくことは十分可能だと私は考えています。

「お医者さんだったら、有効な方法を効果的に使ってくれるのではないか?」と考える人は多いかと思いますが、それは「予備校講師なら、一流大学に合格させてくれるのではないか?」と考えているのと似ていると思います。患者にしても受験生にしても、本人が努力しないと結果を残すことはできません。よいお医者さんを受診できだとしても、「患者の努力が不要になる」という訳ではありませんので注意してください。「治療が上手く行かない患者が多い」ということは、「治療を上手くナビゲートできない医師も多い」ということですので、患者は思考をストップさせてはいけません。「どうすれば今より良い状態になれるのか」ということを常に意識する必要があります。

不安障害に対しては、薬物療法や精神療法がありますが、どちらも「治療精度はあまり高くない」という状況です。不安障害の治療は、現在も研究中の分野なのだと私は思います。しかしながら、現状でも、お医者さんや先輩患者が残してくれた資料(情報)のおかげで、患者側でも治療精度を上げることは十分可能です。

本サイトでは、「どうやって治療精度を上げていくのか?」という記事を順次アップしていく予定ですが、不安障害の方は、パニック障害でなくても「パニック障害に関する記事」も読んで頂きたいです。実はパニック障害の治し方は分かりやすく、他の不安障害の治し方のヒントに十分なり得ます。他の疾患については、あまり知りたくないと思いますが、「こうすれば回復していきますよ」という内容ですので、怖い内容ではありません。本サイトでは、主にパニック障害関連の記事をアップしていきますが、それらはきっと他の不安障害の方にも役立つと思います。

精神の問題は、医療機関だけで治すわけではない、ということも覚えておいてください。例えば、「コミュニケーション能力に問題があって、職場(学校)で孤立し、うつ病になった」という患者さんの場合、「コミュニケーション能力の問題」と「うつ病の問題」が存在する訳ですが、このうち病院で治すのはうつ病だけです。コミュニケーション能力の改善は医療領域ではないため、基本的には病院ではカバーしません。

不安障害の治し方ですが、端的に言えば、「SSRI(抗うつ薬)と抗不安薬、精神療法の3つを使いこなせる能力」を身に付けることです。私は元患者ですが、先輩患者として言えることは、「不安障害は大きく回復させることが可能ですので、治療努力は惜しまない方がいいですよ」ということです。