不安障害の回復アプローチ

【注意事項】

不安障害といっても領域が広いので、本サイトでは「パニック障害と全般性不安障害、強迫性障害、社会不安障害(社交不安障害)」を総称して「不安障害」と表現します。また、私は医師ではありませんので、この記事を基に医学的な判断は行わないでください。元患者であるため、経験的な立場から述べていきます。

不安障害の回復アプローチ

不安障害を治すには、私の経験上では、特別なことをする必要はありません。エビデンスのある治療を実践していくだけです。ただし、治療精度は上げなくてはなりません。

お医者さんが残してくれたデータは、私の印象では、かなり良質です。そのおかげで、私は大きな回復を手に入れることができました。しかし、「お医者さんの指示に従っていれば治りますか?」と訊かれれば、私は「NO」と答えます。もし、不安障害が「お医者さんの指示に従っていれば治る」という病気であれば、なかなか改善しない患者さんは皆無になると思います。しかし、現実はそのようになっていません。

「なかなか治らない」という人は、たいてい、次のどちらかです。

  1. 医師に頼りすぎている
  2. 治療意欲が低い

1と2の患者さんに共通するのは、「勉強不足」ということです。「医師に頼りすぎている」という人は、「お医者さんが何とかしてくれる」と思い込んでいて、勉強不足になっていることが多いです。また、治療意欲が低くなってしまった人も、(病気に対する)学習意欲が低下していますので、勉強不足になります。

不安障害は、今現在も、速やかに治す方法は見つかっていません。しかし、「有効な方法」は見つかっており、「まったく太刀打ちできない」という訳でもありません。この「有効な方法」を効果的に使うと、「日常生活では困らない」という状態までもっていくことは十分可能だと私は考えています。

「お医者さんだったら、有効な方法を効果的に使ってくれるのではないか?」と考える人は多いかと思いますが、それは「予備校講師なら、一流大学に合格させてくれるのではないか?」と考えているのと似ていると思います。患者にしても受験生にしても、本人が努力しないと結果を残すことはできないと思います。よいお医者さんを受診できれば、そうでないお医者さんと比べて治療は有利に進むと思いますが、「患者の努力が不要になる」という訳ではありませんので注意してください。

不安障害の治療が上手く行っていない人は、ハロー効果の影響を強く受けていると私は感じます。ハロー効果とは、ご存じの方も多いと思いますが、よくある例で言えば「偉業を成し遂げた人の言っていることは正しい」と思い込んでしまうような現象のことを言います。具体的には、ハロー効果を受けやすい人は、「医師の言っていることは常に正しい」と思い込んでいて、思考がストップしていることが多いです。しかし、この考えは危険が伴います。「治療が上手く行かない患者が多い」ということは、「治療を上手くナビゲートできない医師が多い」ということでもあります。こうした事情がありますので、患者は思考をストップさせてはいけません。「どうすれば今より良い状態になれるのか」ということを常に意識する必要があります。

不安障害に対しては、薬物療法や精神療法があり、どちらも効果がありますが、「治療精度」は現在もあまり高くない状況です。不安障害の治療は、現在も研究中の分野なのだと私は思います。しかしながら、現状でも、お医者さんが残してくれた資料(情報)によって、患者側で治療精度を上げることは十分可能です。

本サイトでは、「どうやって治療精度を上げていくのか?」という記事を順次アップしていく予定ですが、不安障害の方は、パニック障害でなくても「パニック障害に関する記事」も読んで頂きたいです。実はパニック障害の治し方は分かりやすく、他の不安障害の治し方のヒントに十分なり得ます。他の疾患については、あまり知りたくないと思いますが、「こうすれば回復していきますよ」という内容ですので、怖い内容ではありません。本サイトでは、主にパニック障害関連の記事をアップしていきますが、それらはきっと他の不安障害の方にも役立つと思います。

病気というと、ほとんどの日本人は「お医者さんが治すもの」と思い込んでいますが、精神疾患の場合は、米国では必ずしも医師が治すわけではありません。米国の臨床心理士さんの場合は、州にもよりますが、「処方権」が一部認められており、「心理的アプローチ」からも治療に取り組むことが可能になっています。不安障害の場合は、この心理的アプローチが重要になってくることが多いと私は考えています。

「心理的アプローチとは一体何か?」ということなのですが、これは話が長くなりますのでこの記事では詳しい説明は割愛しますが、一言でいえば、精神療法を主軸としたアプローチです。

現時点では、次のことを覚えておいて頂きたいです。

  • 不安障害の治療には、お医者さんが行う「医療的アプローチ」の他にも心理士さんが行う「心理的アプローチ」がある。
  • 心理的アプローチは日本ではあまり重要視されておらず、医療機関ではあまり行われない傾向にあるが、実は重要である。

心理的アプローチは、必ずしも医療機関で行われる訳ではない、ということも覚えておいてください。例えば、「コミュニケーションに問題があって、職場(学校)で孤立し、うつ病になった」という患者さんの場合、「コミュニケーション能力の問題」と「うつ病の問題」が存在する訳ですが、このうち病院で治すのはうつ病だけです。コミュニケーション能力の改善は医療領域ではないため、基本的には病院ではカバーしません。

不安障害の治し方ですが、端的に言えば、「SSRI(抗うつ薬)と抗不安薬、精神療法の3つを使いこなせる能力」を身に付けることです。先輩患者として言えることは、幸い、不安障害は適切な治療努力を重ねると大きく回復させることが可能ですので、治療努力は惜しまない方がいいです。

読者の皆さんの体調がよくなっていくことを願っています。

2021年2月 六角大地