毒親問題と回復アプローチ

今月、「毒親問題と回復アプローチ」という名前の書籍を出版しました。毒親問題の研究はあまり進んでいないのですが、被害者の数はとても多そうです。Mフォーラムのスタッフの中にも、複数名、毒親に苦しんだ方がいらっしゃいました。書籍の内容は下記のとおりです。Amazonの紹介文から引用しています。

毒親問題は、気づいたときには「取り返しのつかないほど大きな問題」になっていることがほとんどです。この様子は「低温やけど」に似ています。「通常のやけど」は瞬時に痛みが発生するため、被害を最小限に食い止めることができます。しかし、毒親問題ではそうしたことがないため、深刻化してから気づきます。このような理由で、毒親被害者は何年も、あるいは何十年も苦しみ続けることになります。

重度の毒親問題は、批判され続ける「弱い虐待」と人生の方向(進路など)を決められてしまう「強い虐待」で構成されていると私は考えています。

「弱い虐待」では、1つ1つのエピソード(起きた出来事)だけでは虐待と判断できないのですが、継続することによって「虐待と同じ」になっていきます。

最終的に毒親は、「本来、子ども(本人)が判断しなければならない重要な決断」に関しても「不適切な形」で介入してきます(強い虐待)。これにより、毒親被害者の苦痛が永続化することになります。

毒親被害者は、2種類の大きな苦痛を段階的に受けることになります。最初の苦痛は、青年期(15~25歳くらい)にやってきます。(実際は、児童期には始まっていると思われますが、大きく表面化するのは青年期くらいです)

青年期の毒親被害者は、「毒親から批判され続け、主体性を奪われる」という苦痛を受けています。進路などの「人生の方向」さえも毒親が主導で決めてしまうことがほとんどです。この時期は、「自分の人生を自分で決められる他人」が羨ましく感じます。

次の被害は壮年期(25~39歳くらい)以降にやってきます。毒親被害者はこの時期に毒親から「将来を奪われていたこと」に気づきます。そして、「過去への怒り」に対して、膨大なエネルギーを費やしてきてしまったことに打ちひしがれます。多くの場合、この時には「どうしたらいいのかわからない」という状態になっているかと思われます。

このように、「毒親からの被害」は深刻なのですが、日本では毒親問題についてはほとんど研究されてきませんでした。心理の専門家でさえも、毒親問題は「母娘間のボタンの掛け違い」と認識している先生が多かったように感じます。

毒親問題が広く認知されるようになったのは、比較的最近のことです。商的な理由で書籍は多く出版されていますが、本格的な研究はまだ始まっておらず、研究結果を発表するような書籍は皆無に近いです。このような状態であるため、今はまだ定義や考察を固めていく時期だと思われます。そのため、本書で紹介する回復アプローチも、「エビデンスのあるもの」とは言えません。

本書は、考察の域をでない書籍に留まりますが、少しでも読者の苦痛を軽減できれば幸いです。

Mフォーラム代表 六角大地

【目次】
はじめに
第1章 毒親の定義
 第1節 「毒親」という言葉の誕生
 第2節 毒親の定義はまだない
第2章 毒親問題とは
 第1節 「毒親問題」の定義
 第2節 毒親問題の特徴
 第3節 毒親問題の被害
 第4節 毒親問題の実態
第3章 毒親の様子
 第1節 毒親の特徴1
 第2節 なぜ、毒親が生まれるのか?
 第3節 毒親の特徴2
 第4節 毒親の教育方針
 第5節 毒親問題の深刻化
第4章 毒親被害者の様子
 第1節 毒親被害の大まかな流れ
 第2節 毒親被害者の特徴
  児童期の毒親被害者の場合
  青年期以降の毒親被害者の場合
 第3節 毒親被害者と発達課題
第5章 毒親被害者の回復アプローチ
 第1節 効果が期待できない回復アプローチ1
 第2節 青年期の毒親被害者の回復アプローチ
 第3節 効果が期待できない回復アプローチ2
 第4節 壮年期以降の毒親被害者の回復アプローチ
  毒親を許さない
  夢の追いかけ方
  毒親との対決(毒親への主張)
 第5節 効果が期待できない回復アプローチ3
 第6節 カウンセリングの利用
 第7節 回復アプローチのまとめ
第6章 毒親被害者を出さないための考察
 第1節 毒親被害児童の発見方法
 第2節 毒親問題の連鎖を断ち切るための考察
あとがき
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